旅館ぬしや様は平成14年に設計・工事が始まり、平成17年2月に竣工と約3年という長期にわたり携わったこともあり、思い入れも強い仕事であった。
ご主人の有福温泉の良さを感じていただけるような旅館にしたいという想いを受け、自然の中に佇む癒される空間を作ろうと思った。
自然をできるだけ残すべきだということで、ご主人と一緒に山の中に入り残す木々を選定した。それらを生かすためには正確な位置を把握する必要があったが、障害物が多く機械が使えなかったため、平板測量とうい手作業で一本一本の位置を測定していった。
古民家を移築して使うために、石見地方に残っている古民家を探し、イメージに合うものに出会えるまで何件も見てまわった。
プランが決まったからといって、あとは工事を進めるだけとういことはない。ぬしや様のご夫妻、施工業者とともに工事方法や壁の位置などから仕上げの種類にいたるまで、細かい打ち合わせを何度もかさねた。時には朝まで議論することもあり、一旦白紙に戻ったこともあった。
しかし、こういう打ち合わせがあってこそ満足できるものが作れるのだと思う。
~経営的なアドバイス~
ぬしや様は、宿泊施設としてだけでなく、レストラン事業での成功を目指した設計・デザインにしています。収益・経営を考えた設計をするのが相生設計です。
古民家移築では、すばらしい仕上がりに改めて大工さんの技術の確かさを実感した。昔の技術を盗むには古ければどれでもいいという訳ではないらしい。今回の古民家は適材で、意気込みに仕事にかける職人のプライドや向上心が感じられ、感動を覚えた。
旅館ぬしや様のご主人、ご家族、施工業者、造園業者他この工事に関わった全ての人のいいものを作りたいという気持ちがひとつになって完成したと思っている。
そして今回、この旅館ぬしやがしまね景観賞民間建築部門の優秀賞に選ばれたことに大変うれしい気持ちでいる。
相生設計は島根県内で仕事をしているので、地元で評価していただけることが何よりもうれしく、これからもこの島根で設計をしていく励みになる。 |